2011年7月9日 準々決勝
優勝候補ナンバーワンのドイツ戦で大金星!
4強入り!!グループ予選B組を2位で通過し、8強で戦う決勝トーナメントに進出した日本代表「なでしこジャパン」。
準々決勝会場はドイツ中部のヴォルフスブルグ、対戦相手は予選A組1位通過のドイツです。
日本はこれまでドイツと国際マッチで8試合対戦し、結果は7敗1引き分け。さらにドイツは開催国であり、2003年からワールドカップ2連覇中とあって、このワールドカップでも優勝候補ナンバーワンと言われています。日本にとっては厳しい戦いになることは明らかでした。
試合前までのインタビューでは、ドイツ代表のシルビア・ナイトSivia Neid監督はたびたび、「ドイツは日本には体格では勝っているが、日本選手は高い技術と見事なチームワークを持っている。ハチのように動き回るので、戦いにくい相手だと思っている」と答えていました。
またFCRデュイスブルグ所属でFWのインカ・グリングスInka Grings選手も「自分のチームメイトであるコズエや、ポツダムのナガサト選手を見ると、日本の選手は素晴らしいプレーが出来ると良く判る。でも自分たちも負けない。受けて立つ」と、いずれも日本選手の技術を認めながらも、でもどこか「それでも自分たちが勝つ」という余裕があるように見受けられました。
一方日本チームは監督、選手とも、ドイツが一段上にいると認識した上で、「胸を借りるつもりで」、「当たって砕けろという気持ち」、「負けても自分たちは失うものは何もない。がむしゃらに行く」とインタビューや個人的な会話の中で語っていて、まさに無心の境地で戦いに望んだようです。
この試合のチケットは完売。
2万7千人以上の人々で埋め尽くされたヴォルフスグルグのスタジアム、観客の9割?それ以上?はドイツファンで、日本チームにとっては完全アウェイ状態でのキックオフです。
梢選手はスタメンで出場しました。ドイツチームのスタメンにはFCRのチームメイトであるFWインカ・グリングスInka Grings選手、ジモーネ・ラウダーSimone Laudehrs選手、リンダ・ブレソニックLinda Bresoniks選手、アニケ・クラーンAnnike Krahn選手も並んでいます。
そして試合開始。日本の選手たちは、平均身長が10センチ上回るドイツ選手を相手に、ひたすらボールを追い、ゴールを守り、選手同士で指示を出し合いながら連携を取って、チャンスには何とかドイツゴールに攻め込もうと、必死のプレーを見せてくれました。疲れを厭わず走る選手たち。個々の選手の運動量は、明らかに日本選手の方がドイツ選手を上回っていました。
前半、後半を0-0で終え、試合は15分ハーフの延長にもつれ込みます。
何度も危ない場面がありながら、DF陣が耐えてドイツに得点を許しませんが、一方日本もゴールを決めることが出来ません。しかし延長も後半に入ってから、澤穂希選手が中央付近で受けたボールを、右サイドを走りこんできた丸山桂里奈選手に向けて素早いパス。ボールに追いついた丸山選手がDFをかわして右足でシュート!
入ったー!!日本にゴール!!この瞬間、スタジアムのわずかな一角に集まっていた日本ファンはまさに狂喜乱舞!泣いているのか笑っているのか判らないような大騒ぎを繰り広げいていたのですが、ドイツファンに埋め尽くされたスタジアム全体としては、シーンと静まり返っていたんだそうです。
試合後のインタビューでドイツのキャプテン、ケアスティン・ガレフレケスKerstin Garefrekes選手は、「周りが急に静かになって、何か起きたのか判らなかった」と言っていました。
ゴールを決めた丸山選手も、他の日本選手たちも、抱き合ってひとしきり喜んだ後、スタジアムがあまりに静かなので「もしかしてオフサイドだった?ゴールじゃなかった?」と不安になったとか。
しかし審判ははっきりとゴールを認め、延長の終了まであと12分というところで0-1で日本がドイツをリードします。あとはドイツの攻撃に耐え、この1点を守りきれば強豪ドイツを倒して準決勝進出です。
そしてなでしこジャパン、やってくれました。ここまでのシュート数は日本が9本に対して、ドイツは倍以上の23本。それを粘り強くはじき返してゴールを守った120分。おそらく疲弊しきっているであろう足を、体を動かし続け、集中を途切れさせることなくドイツの猛攻の一つ一つを押さえ続け、見事にロスタイムまで守りきって、ドイツ戦勝利です!!
実は梢選手、この日が29歳の誕生日でした。このワールドカップを戦うために、自分を高めようとドイツに移籍してきて1年半。誕生日にドイツとの直接対決で勝利を収めるなんて、誰が想像していたでしょうか。
観客席に向かって笑顔で手を振る梢選手。
この笑顔が見られてうれしい!試合終了後のインタビューで、FCRのチームメイトたちは次のように語っています。
FWインカ・グリングス選手
今日は私たちにとって最悪の日だった。あと5時間試合を続けても、私たちはゴールを決めることができなかっただろう。日本は素晴らしい対戦相手だった。ほとんどチャンスがなかったのに、ゴールを決めたんだから。それが私たちとの違いだった。まずこの結果を受け止めないと。
MFジモーネ・ラウダー選手
この結果はとても残念で悲しい。(試合開始後まもなく負傷した)キム(クーリック選手)が抜けたことが大きなショックだった。でもそれだけが原因で負けたわけではない。日本の選手たちは技術力が高くて、私たちがプレーするスペースを与えてくれなかった。後半はなるべく前に出るようにしたけれど、それだけではもうどうにもならなかった。
DFリンダ・ブレソニック選手
今は空っぽになってしまったような気がする。今日の結果は最悪だった。私たちは誰も今日負けるかもしれないとは思っていなかった。フランス戦のあと、私たちは絶好調だったし、どうしてこうなってしまったのか判らない。
ドイツチームにとっては自国開催で3連覇を目指し、春先から長く厳しい合宿トレーニングを積んでいただけに、これまで負けたことのない日本に敗れたというのは受け止めるのが苦しいことでしょう。ドイツサッカー協会のテオ・ツヴァンツィガーDr. Theo Zwanziger会長は「日本は素晴らしいプレーをして、我々を苦しめた」と言いながらも、最後に「準決勝進出おめでとう」と今後の日本の活躍にエールを送ってくれました。
ここまで来たら優勝目指して頑張れ!なでしこジャパン!!
頑張れ!梢選手!!
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2011/07/11 13:19 | # [ 編集 ]